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地球生まれで旅育ち
著 者
ヤマザキマリ
定 価
  本体1000円+税
発 行
  2019.8
ISBN
  978-4-7593-1675-9
地球生まれで旅育ち
いつも本音で生きること

小社既刊『地球で生きている ヤマザキマリ流人生論』(2015年刊・四六判)を改題して新書判にしたものです。
新装版という性格上、章立ては基本的に旧版を踏襲していますが、第2章「女性論」の末尾、第5章「ローマ論」の後半部分には、Webマガジン「AGARU ITALIA」様より提供いただいた、新しい記事を収録しています。
「先入観や固定観念にとらわれずともよい」と気づくきっかけとなった、14歳でのドイツとフランスへの旅から、影響を受けた女性、芸術、文学、家族の話まで、“ヤマザキマリ”という一人の人間を作り上げてきた要素が本書には多く集められています。
なかでも「旅すること」は、著者には欠かせない行為です。本書の中でも、さまざまな国でのエピソードが語られています。
私たちが著者と同じことをするのは、なかなか容易ではありません。簡単に真似することができるとしたら、やってみたい、行ってみたい、見てみたい、といった欲求に素直に従ってみることなのかもしれません。


第一章 私の原点
第二章 女性論――強さ、賢さ、美しさ。
第三章 表現論――生きることは表現すること。
第四章 芸術論――私を育むもの。
第五章 ローマ論――歴史を背負う人々。


 私が幼少期を過ごした北海道の景色のほとんどは、視界の半分以上が空だ。とある編集者によると、北海道在住、または北海道と長く関わりのあった漫画家の作品に描かれる背景は、ほかの地域の作家のものと比べて圧倒的に空が広いのだという。
 確かにそうかもしれない。
 私も自分の、昭和の北海道を舞台にして描いた漫画を読んでみると、コマの半分以上は空という景色がいくらでも出てきている。都会であれば、高い建造物で見える範囲が狭まってしまう空が、180度端から端まで満遍なく見渡せるのはこの土地の大きな特徴だし、それが当たり前な空のあり方だと思って暮らしていると、作品にもその捉え方通りに反映されるのだろう。
 かつてポルトガルに暮らしていた時、よく車でユーラシア大陸最西端に位置するロカ岬という場所へ出かけることがあった。
 狭い家の中で年がら年中腰を丸めて細かい作画作業ばかりしていると、突然とてつもない開放感と接したくなる欲求が遮る間もなく膨らみ上がってくることがある。そんな精神的必然性に駆られて出かける場所が、ロカ岬のような、断崖絶壁から見渡せるのはひたすら大西洋、という場所だった。そして、その岬の際に立って、どこまでも広がる大海原を眺めていると、古の人々がその向こう岸にあるはずの、未知の世界に思いを馳せていた気持ちがしみじみと伝わってくるような気がしはじめる。それはきっと、私も北海道の空を眺めながら、その大空間の向こうにある見ず知らずの世界へ、目一杯の妄想や想像力を膨らませて育ったからだろう。
 大好きで読み続けてきた冒険小説、母が忙しい時に私と妹を預けていた修道会のドイツ人修道士達、兼高かおるさんの世界紀行番組、母の演奏会で奏でられる数々の欧州の楽曲、14歳の時のフランス・ドイツ一人旅。
 そして北海道の果てしない空。
 自分が生きている場所はこの広い世界の本当に限定的な範囲でしかなく、地球上での何万分の、いや何千万分の一くらいでしかないという意識で頭がいっぱいになる要因は、思い起こしてみれば沢山ある。
 地球という惑星に、移動ができる生き物として誕生してしまったからには、そして、そういった未知の世界に覚めやらぬ好奇心が湧き続けるような環境に育ってしまったからには、見えている範囲のことだけに満足して生きていくのはどうしても私には無理だった。


「ちゃんとしなくては」
という意識は、社会生活を送っていくうえで、いつも頭の片隅に存在しているものだと思います。
 一般常識、とされるものから逸脱することを恐れるあまり、感情が消化不良に陥りがち……そんな方におすすめの1冊です。
 作中に登場する人たちはみな、それをはるかにしのぐほど「クセが強い」人たちです。自己を表現することをまったく恐れていないからです。
「好きなものは好き」、「イヤなものはいや」、「いいものはいい」。
 こうしたことを素直に語れたとしたら、とても気楽ですよね。
 せっかく生きるなら、本音で生きてみたい。
 本書が、肩の力を少し抜いて、自分らしく生きるきっかけとなってくれたらと思います。


ヤマザキ マリ(やまざき まり)

漫画家。1967年、東京生まれ。
17歳でイタリアに渡り、フィレンツェにて油絵を学ぶ。
その後、エジプト、シリア、ポルトガル、アメリカを経て現在イタリア在住。
『テルマエ・ロマエ』(KADOKAWAエンターブレイン)でマンガ大賞2010、および第14回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。900万部のベストセラーに。他に『モーレツ!イタリア家族』、『ルミとマヤとその周辺』、『スティーブ・ジョブズ』(いずれも講談社)、『プリニウス』、『パスタぎらい』(新潮社)、『ヴィオラ母さん』(文藝春秋)、『望遠ニッポン見聞録』(幻冬舎)など。





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