「ご依頼申し上げます」は間違いではない。意味とビジネス例文、正しい敬語と言い換え

「ご依頼申し上げます」という言葉は、ビジネスの場面で「お願いします」という意味をより丁寧に表現するときに使われます。
この表現は、相手に何かをしてもらいたい時、特に正式な場面や書類、メールで使用され、敬意を表しながら依頼をする際に役立ちます。

「ご依頼申し上げます」は間違いではない

「ご依頼申し上げます」は敬語表現として間違っていません。この表現は、敬語の中でも特に尊敬語と謙譲語の要素を含んでいます。敬語には大きく分けて尊敬語、謙譲語、丁寧語がありますが、「ご依頼申し上げます」の場合、相手の行動を尊重する「ご~」という尊敬語の要素と、自分の行動をへりくだって表現する「申し上げます」という謙譲語の要素が組み合わさっています。以下、それぞれの要素について文法的な背景を説明します。

尊敬語の「ご~」

尊敬語は、相手の行動や状態に対して敬意を表す言い方です。「ご~」は名詞に付けて尊敬の意を表します。この場合、「依頼」という名詞に「ご」を付けることで、相手の行動に対する尊敬を示しています。

文化庁が公開している「文化審議会答申」においても、相手がいる文脈で「お待ちする」 「ご説明する」と自分の行動に「お」や「ご」を付けることは謙譲語として正しいと説明しています。
もちろん、自分主体の行動において「お食事」「ご移動」のように表現するのは誤りです。

謙譲語の「申し上げます」

謙譲語は、自分または自分の内側の人間(自分の会社の人間など)の行為を低くして相手に敬意を表します。「申し上げます」は、「言います」の謙譲語であり、自分の行動を控えめに表現することで相手への敬意を示しています。

「ご依頼申し上げます」ビジネスにおける意味と正しい使い方

この表現は、自分から相手に何かをお願いする場合に使います。自分の行為(この場合は「依頼する」という行為)を謙遜して表現し、同時に相手の行為に対する敬意を尊敬語で示しているため、ビジネスシーンにおいては特に相手に対する敬意を表すのに適した表現です。

どんな時に使う?

仕事で、上司や他の会社の人にメールや書類で何かを頼みたい時。
大切なお願い事をする時に、相手を尊重して、敬う気持ちを示したい時。

どうやって使う?

メールや文書で、「ご依頼申し上げます」と書き始め、その後に具体的に何をお願いしたいのかを書きます。
例えば、「この件につきまして、ご対応のほどをご依頼申し上げます」というように使います。

使う時のポイント

お願いする内容を明確にし、相手が何をすればいいのかわかりやすく説明する。
この表現はかなり丁寧なので、親しい同僚に対しては使わず、公式な場や大切なお願いごとに限定して使う。
要するに、「ご依頼申し上げます」は、ビジネスシーンで相手に敬意を表しつつ、何かをお願いしたい時に選ぶ、とても丁寧な言い方です。

「ご依頼申し上げます」を使用する際の注意点

コンテキスト(文脈)を考慮する:

使用する場面や相手の立場を考慮し、「ご依頼申し上げます」の表現が適切かどうかを判断します。公式な文書や重要なビジネスメールでの使用に適しています。

依頼内容を明確にする:

この表現を用いる際は、依頼の内容を明確かつ具体的に記述し、受け手が何を求められているのかを容易に理解できるようにします。

使用頻度に注意する:

文書やメールでの使用は、必要な場所に限定し、適切な頻度で使うことが大切です。過度な使用は避け、他の表現とバランスよく組み合わせます。
「ご依頼申し上げます」をビジネスコミュニケーションで使用する際には、これらの間違った使い方と注意点を意識し、正確かつ効果的なコミュニケーションを心がけることが重要です。

ビジネスシーン別の例文集

「ご依頼申し上げます」をビジネスシーンで使用する際の例文をいくつか紹介します。これらの例文は、様々なビジネスの状況で使える依頼の仕方を示しています。

プロジェクト関連の依頼:

「プロジェクトの進捗状況について、明日までに報告書の提出をご依頼申し上げます。」

資料作成の依頼:

「来週のプレゼンテーションに向けて、資料の作成をご依頼申し上げます。」

ミーティング設定の依頼:

「貴社との次回ミーティングの日程調整を、ご依頼申し上げます。」

情報提供の依頼:

「製品の最新仕様に関する情報提供を、ご依頼申し上げます。」

協力の依頼:

「来期のマーケティング戦略立案にあたり、貴社のご協力をご依頼申し上げます。」

承認の依頼:

「新しいプロセスに関する承認を、ご依頼申し上げます。」

フィードバックの依頼:

「提案書に対するご意見とフィードバックを、ご依頼申し上げます。」

調査協力の依頼:

「市場調査にご協力いただけるよう、ご依頼申し上げます。」

業務代行の依頼:

「私の不在中、業務の一部を代行していただけないかと、ご依頼申し上げます。」

ドキュメントの確認依頼:

「契約書案の最終確認を、ご依頼申し上げます。」

ビジネスメールの例

件名: 【ご依頼】営業資料の更新作業について

高橋様

いつも大変お世話になっております。株式会社△△の田中です。

貴重なお時間を割いていただき、ありがとうございます。さて、今回は営業資料の更新に関するお願いがございます。

弊社の最新製品ラインナップが反映された営業資料の作成を、高橋様にご依頼申し上げます。具体的には、以下の内容の更新をお願いしたいと考えております。

大変お手数をおかけしますが、高橋様のご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。何卒よろしくお願いいたします。

「ご依頼申し上げます」の言い換え

「ご依頼申し上げます」という表現は非常に丁寧な依頼の言い方ですが、場面や相手の立場、文脈によっては他の言い回しを使うことが適切な場合があります。以下に、「ご依頼申し上げます」の言い換えとその解説を示します。

「お願いいたします」

一般的な依頼やお願いを表す際に用いられる表現。フォーマルでもカジュアルな場面でも使える万能な言い方です。

「ご協力お願いいたします」

相手に何かをしてもらいたい時、特に協力を求める際に使います。チームワークや共同作業の文脈でよく使用されます。

「対応をお願いできますでしょうか」

何か具体的な作業や対応を依頼する際に用います。丁寧ながらも、相手に行動を促すニュアンスが含まれます。

「ご検討いただけますと幸いです」

依頼をするのではなく、相手に何かを考えてもらいたい時に適した表現。柔らかい印象を与え、相手にプレッシャーをかけずに依頼の意向を伝えます。

「宜しくお願い申し上げます」

「ご依頼申し上げます」と同じくらい丁寧な表現で、幅広いシーンで使用できます。依頼だけでなく、一般的なお願い事にも用いられます。

「ご対応頂けますとありがたいです」

比較的カジュアルな表現で、相手に感謝の気持ちを込めつつ依頼します。相手に対する敬意は保ちつつ、やや柔らかい印象を与えます。

「ご確認いただけますか」

文書やデータなどの確認を依頼する際に適しています。直接的でありながら、敬意を表する表現です。

「拝承願います」

とてもフォーマルな場面で使用される表現で、古風な印象を与えます。特に書面での公式な依頼に使われることがあります。

これらの言い換えを選ぶ際は、相手との関係性や依頼の内容、そして文脈を考慮することが重要です。適切な言い回しを選ぶことで、スムーズかつ効果的なコミュニケーションを図ることができます。