「いたしかねる」意味と使えるビジネス例文＆言い換え集。メール例と正しい敬語

「いたしかねる」は、相手の要望や依頼に対して丁寧に断る際に使用する表現です。ビジネスシーンでは特に重要な敬語表現の一つで、相手への配慮を示しながら断りの意思を伝えることができます。

この言葉は、単なる「できません」よりも柔らかく、相手の気持ちに配慮した表現となっているため、ビジネスマナーとして適切な使い方をマスターしておく必要があるでしょう。
Q
ビジネスにおいて「いたしかねる」の意味は？
A

要望や依頼を断る際に使用する丁寧な表現で、「できかねます」という意味です。相手の立場を考慮しながら、やんわりと断る場面で使われます。

「いたしかねる」ビジネスにおける意味

ビジネスの場面において「いたしかねる」は、非常に重要なコミュニケーションツールとなります。相手の要望を受け入れられない状況で、円滑な人間関係を維持しながら断りの意思を伝えることができます。また、この表現は謙譲の意を含んでおり、相手への敬意と配慮を示すことができるため、ビジネスマナーとして適切な表現となっています。

ビジネスアドバイザー

断る際は必ず代替案を用意しておきましょう！

  • 相手の要望や依頼を丁寧に断る際に使用する表現です。単なる「できません」よりも柔らかい印象を与え、ビジネスシーンでは欠かせない言葉です。
  • 「いたす」という謙譲語に「かねる」を組み合わせることで、より丁寧な表現となります。相手への配慮を示しながら、断りの意思を明確に伝えることができます。
  • この表現を使用する際は、必ず理由や代替案を添えることで、より円滑なコミュニケーションを図ることができます。

ビジネスで使える例文

ビジネスシーンでは、様々な場面で「いたしかねる」を使用する機会があります。特に取引先や上司との関係を良好に保ちながら断る必要がある場合に重宝します。状況に応じて適切な表現を選ぶことで、プロフェッショナルな対応が可能となります。

申し訳ございませんが、ご要望の納期での対応はいたしかねる状況でございます。
予算の都合上、今回のご提案はいたしかねると判断いたしました。
社内規定により、そのようなお取り扱いはいたしかねることをご了承ください。
誠に恐れ入りますが、当日の参加はいたしかねるため、代理の者を派遣させていただきます。
セキュリティ上の理由から、その情報の開示はいたしかねることをご理解いただけますと幸いです。
品質基準を満たしていないため、今回の納品はいたしかねると判断させていただきました。
スケジュールの都合上、ご依頼の内容はいたしかねる状況でございます。
現行のシステムでは対応いたしかねる機能となっております。
これらの例文は、ビジネスシーンでよく遭遇する断りの場面で活用できます。重要なのは、単に断るだけでなく、その理由を明確に説明し、可能であれば代替案を提示することです。また、表現を状況に応じて使い分けることで、より適切なコミュニケーションが可能となります。

言い換え＆類語

「いたしかねる」は、状況や相手によって様々な言い換えが可能です。適切な言い換えを選ぶことで、より円滑なコミュニケーションを図ることができます。

「できかねます」
最もよく使用される言い換え表現で、「いたしかねる」とほぼ同じ意味合いを持ちます。
「承りかねます」
特に依頼や要望を受け入れられない場合に使用する表現ですね。
「お引き受けできかねます」
依頼された業務や仕事を受けられない場合に適した表現となっています。
「ご容赦いただきたく存じます」
より丁寧な表現で、相手への配慮を強く示したい場合に効果的でしょう。
「お受けできません」
やや直接的な表現ですが、明確な意思表示が必要な場合に使用されます。
「対応致しかねます」
特にカスタマーサービスなどで多用される、定型的な表現となっています。
「お断り申し上げます」
フォーマルな場面で使用される、礼儀正しい断りの表現です。
「お応えできかねます」
要望や質問に対して返答できない場合に適した表現となります。
「実施しかねます」
具体的な行動や施策を実行できない場合に使用する表現です。
「お答えいたしかねます」
特に機密情報や個人情報に関する質問への回答を控える場合に使用されます。
言い換えを行う際は、相手との関係性や状況を考慮することが重要です。より丁寧な表現が求められる場面では、「させていただく」「申し上げる」などの謙譲表現を組み合わせることで、より適切な対応が可能となります。

ビジネスでのメール作成例

掲題：商品開発プロジェクトのスケジュール変更について

株式会社イノベーションテック
山田様

いつもお世話になっております。

先日ご依頼いただきました商品開発プロジェクトのスケジュールについて、ご連絡させていただきます。

社内のリソース状況を確認いたしましたところ、誠に申し訳ございませんが、ご希望の納期での対応はいたしかねる状況でございます。

つきましては、納期を1か月延長させていただき、来月末での納品とさせていただきたく存じます。

ご迷惑をおかけし大変申し訳ございませんが、何卒ご検討いただけますと幸いです。

ご返答をお待ちしております。
メールを作成する際は、以下のポイントに注意が必要です。まず、断りの意思を伝える前に、現状の説明や理由を明確に示すことが重要です。また、代替案を提示することで、建設的なコミュニケーションを図ることができます。さらに、相手への感謝や謝意を適切に表現することで、良好な関係性を維持することが可能となります。

「いたしかねる」敬語の文法

  • 「いたす」：「する」の謙譲語で、自分の行動を低めて表現します。話者が主体となる動作を表現する際に使用します。
  • 「かねる」：可能性や能力の否定を表す補助動詞で、「〜することができない」という意味を丁寧に表現します。この組み合わせにより、より丁寧な断りの表現となります。

「いたしかねる」をビジネスで使う効果的な場面

ビジネスアドバイザー

TPOを考えて使い分けることで、より効果的なコミュニケーションが実現できますよ！

  • 取引先からの無理な要求を断る場面：納期の短縮や予算の削減など、企業としての品質基準や方針に反する要求を受けた際に使用します。
  • 機密情報の開示要請への対応：セキュリティポリシーや法令遵守の観点から、情報開示ができない場合に使用します。
  • 社内規定に反する依頼への対応：規定や規則に違反する行為の依頼を受けた際に、組織としての立場を明確にしながら断る場合に使用します。
  • リソース不足による断り：人員や設備の制約により、要望に応えられない場合に使用します。
  • 技術的制約による断り：システムや設備の制限により、要望された機能や仕様を実現できない場合に使用します。
  • 法令遵守の観点からの断り：コンプライアンス上の理由から、依頼を受けられない場合に使用します。

「いたしかねる」間違った使用法

不適切な使用は、ビジネス関係を損なう可能性があります。特に理由の説明が不足していたり、代替案を提示しないまま断ってしまうことは、相手に不信感を与えかねません。また、この表現を使用する際のタイミングや場面選びも重要となってきます。

ビジネスアドバイザー

断りの後には必ず代替案や今後の対応を提案しましょう！

  • 「それは、いたしかねる」という短い表現での使用。
    理由：理由の説明がなく、無礼な印象を与えます。
    正しい使い方：「申し訳ございませんが、〇〇の理由により、ご要望にお応えいたしかねます」
  • 「絶対にいたしかねます」という強い否定での使用。
    理由：「絶対」という言葉は断定的すぎます。
    正しい使い方：「誠に申し訳ございませんが、現状ではお引き受けいたしかねます」
  • 「いたしかねるのでやめてください」という命令的な使用。
    理由：相手への配慮が欠けています。
    正しい使い方：「いたしかねる状況ですので、別の方法をご検討いただけますと幸いです」
  • 「ちょっといたしかねます」というカジュアルな使用。
    理由：「ちょっと」は砕けた表現です。
    正しい使い方：「誠に恐れ入りますが、いたしかねます」
  • 「いたしかねるんです」という話し言葉的な使用。
    理由：「んです」は口語的です。
    正しい使い方：「いたしかねる状況でございます」
  • 「いたしかねるので終わりです」という一方的な終了。
    理由：対話の余地を残していません。
    正しい使い方：「いたしかねますが、代替案として〇〇をご提案させていただきます」

「いたしかねる」まとめ

ビジネスシーンにおいて「いたしかねる」は、相手への配慮を示しながら断りの意思を伝える重要な表現です。単なる拒否ではなく、状況説明や代替案の提示を含めることで、より効果的なコミュニケーションツールとなります。

この表現を適切に使用することで、プロフェッショナルな対応が可能となり、取引先や上司との良好な関係を維持することができるでしょう。特に重要なのは、断りの表現でありながら、将来的な可能性を残す余地を持たせることです。

ビジネスの現場では、様々な理由で相手の要望に応えられない状況が発生します。そんな時こそ、「いたしかねる」を使用することで、誠意ある対応を示すことができます。ただし、過度な使用は避け、状況に応じて適切な言い換えも検討する必要があるでしょう。