「存じ上げないです」失礼のない敬語の使い方。ビジネス例文&メール作成例まとめ

「存じ上げないです」は、ビジネスシーンでよく使われる丁寧な表現です。相手のことをよく知らない、または初対面の場合に使う言葉です。これは、相手への敬意を示しながら、自分の知識不足を謙虚に伝える方法です。

ビジネスの場面では、相手との関係性や立場を考慮しながら使うことが大切です。単に「知りません」と言うよりも丁寧で、相手への配慮が感じられる表現なのです。
Q
ビジネスにおいて「存じ上げないです」の意味は?
A

相手や状況について知識がないことを、丁寧かつ謙虚に伝える表現です。相手への敬意を示しつつ、自分の情報不足を控えめに伝えます。

「存じ上げないです」の正しい敬語の使用法

「存じ上げないです」は、謙譲語と丁寧語を組み合わせた表現です。言葉を分解して、それぞれの役割を見てみましょう。
  • 「存じ上げる」:「知る」の謙譲語
  • 「ない」:否定を表す助動詞
  • 「です」:丁寧語
「存じ上げる」は「知る」の謙譲語で、自分の行為を低めて表現します。「ない」を加えることで、知らないことを表現し、最後に「です」をつけて丁寧さを出しています。

使う際は、相手との関係性や場面をよく考えることが大切です。例えば、初対面の人や取引先の方に使うのが適切です。ただし、親しい同僚や部下に対しては、少し堅苦しく感じられる可能性があるので注意が必要です。
ビジネスアドバイザー

相手や状況に応じて使い分けることで、適切なコミュニケーションが取れます。

表現 使用場面 丁寧さのレベル
存じ上げないです 初対面、取引先
知りません 同僚、カジュアルな場面
分かりません 友人、日常会話

「存じ上げないです」の敬語を用いた言い換え

「存じ上げないです」は丁寧な表現ですが、状況によってはさらに丁寧な言い方や、少しカジュアルな言い方に変えることもできます。以下に9つの言い換え例を示します。
「存じ上げておりません」
より丁寧な表現で、ビジネスの場でよく使われます。
「承知しておりません」
「知らない」ことを別の言葉で表現した丁寧な言い方です。
「把握しておりません」
情報を理解していないことを示す際に使用される表現です。
「認識しておりませんでした」
過去の事柄について知らなかったことを伝える際に適しています。
「存じておりません」
「存じ上げないです」よりも少しカジュアルな印象を与えます。
「よく分かりません」
比較的カジュアルな場面で使える表現です。
「詳しくは存じません」
部分的に知識があるが、詳細は分からないことを示す際に使います。
「存じ上げておらず、申し訳ございません」
謝罪の意を込めた丁寧な表現です。
「理解しかねます」
単に知らないだけでなく、理解が難しいことを示す表現です。
言い換えのポイントは、場面や相手との関係性に応じて適切な表現を選ぶことです。より丁寧さを求められる場面では「存じ上げておりません」や「承知しておりません」などを使い、カジュアルな場面では「よく分かりません」のような表現を選びましょう。

また、単に知らないことを伝えるだけでなく、「申し訳ございません」を付け加えたり、「詳しくは」という限定をつけたりすることで、より丁寧さや正確さを表現できます。状況に応じて、最適な言い換えを選ぶことが大切です。

ビジネス例文一覧

「存じ上げないです」は、ビジネスシーンで丁寧に「知らない」ことを伝える際に使用します。ここでは、上司や目上以外の人、例えば取引先や同僚、部下などとのコミュニケーションを想定した例文を紹介します。
申し訳ありませんが、その件について詳しいことは存じ上げないです。確認してから改めてご連絡します。
ご紹介いただいた企業様ですが、私は存じ上げないです。もし差し支えなければ、詳しい情報を教えていただけますか?
すみません。その方のお名前は存じ上げないです。どのような方か、教えていただけますか?
その製品の詳細な仕様については存じ上げないです。担当部署に確認しますので、少々お待ちください。
申し訳ありませんが、その業界の最新トレンドについては存じ上げないです。調査後、ご報告します。
その案件の経緯については存じ上げないです。資料を確認してから、ご連絡します。
すみません。その方の役職は存じ上げないです。人事部門に確認してみます。
その技術の具体的な応用例は存じ上げないです。専門家に問い合わせて、後ほど説明します。
申し訳ありませんが、その取引先との過去の経緯は存じ上げないです。調べてから回答します。
その法律の細かい内容については存じ上げないです。法務部門に確認し、正確な情報をお伝えします。
これらの例文は、上司や目上以外の人とのコミュニケーションを想定しています。そのため、敬語は使用していますが、過度に丁寧な表現は避け、やや柔らかい印象を与える言い回しを使っています。

例えば、「申し訳ございません」の代わりに「申し訳ありません」や「すみません」を使用し、「ご報告いたします」の代わりに「ご報告します」や「説明します」などの表現を使っています。

また、「存じ上げないです」の使用後は、必ず次のアクションを示していますが、その表現も上司や目上以外を想定したものになっています。例えば、「確認いたします」ではなく「確認します」、「お待ちください」ではなく「少々お待ちください」などです。

これらの例文を使用することで、丁寧さを保ちつつも、より親しみやすい印象を与えることができます。状況や相手との関係性に応じて、適切な表現を選択することが重要です。

「存じ上げないです」ビジネスでの意味合い

ビジネスにおいて「存じ上げないです」は、単に「知りません」と言うよりも丁寧で、相手への敬意を示す表現です。この言葉を使うことで、自分の知識や情報の不足を謙虚に認めつつ、プロフェッショナルな態度を維持できます。

また、この表現は相手との良好な関係を築く上でも重要です。知らないことを素直に認めることで、誠実さや正直さを示し、信頼関係を強化することができます。さらに、「存じ上げないです」と言った後に、情報を確認して後ほど回答するという姿勢を示すことで、責任感のある対応を印象づけられます。

ビジネスコミュニケーションにおいて、この表現を適切に使用することは、自分の専門性や信頼性を損なうことなく、謙虚さと誠実さを表現する有効な方法と言えるでしょう。使うときのポイントを以下に3つ詳しく解説します。
  • 適切な場面で使用する:「存じ上げないです」は、主に初対面の人や目上の人、取引先などフォーマルな場面で使います。親しい同僚や部下に対しては、やや堅苦しく感じられる可能性があるため、状況に応じて使い分けることが大切です。
  • フォローアップの姿勢を示す:単に「存じ上げないです」と言うだけでなく、「確認してご連絡します」「調べてからご回答いたします」など、その後の対応を示すことが重要です。これにより、プロフェッショナルな印象を与え、相手の信頼を得ることができます。
  • 謝罪の言葉を添える:状況に応じて、「申し訳ございません」「恐れ入りますが」などの謝罪の言葉を添えることで、より丁寧な印象を与えることができます。ただし、過度に謝罪すると自信がないように見えるため、バランスを取ることが大切です。

ビジネスメール作成例

掲題:プロジェクト資料の確認について 山田技研株式会社
佐藤様

お世話になっております。千葉商事の鈴木です。

先日ご依頼いただいた新規プロジェクトの資料確認について、ご連絡します。

ご指摘の第3項目に関する詳細な技術仕様につきまして、申し訳ありませんが、私は存じ上げないです

そのため、当社の技術部門に確認の上、明日中にご回答する予定です。

少々お時間をいただき、正確な情報をお届けしたいと思います。

ご不便をおかけして申し訳ありませんが、ご理解いただければ幸いです。

今後ともよろしくお願いします。 千葉商事株式会社
営業部 鈴木一郎
このメールを作成する際のポイントをいくつか解説します。

まず、全体的な文体を、上司や目上の人に対するものよりも少しカジュアルにしています。例えば、「お世話になっております」「よろしくお願いします」など、やや柔らかい表現を使用しています。

「存じ上げないです」という表現を使用する際も、その前後の言葉遣いを調整しています。「申し訳ございませんが」ではなく「申し訳ありませんが」と、やや柔らかい謝罪の言葉を使っています。

また、「ご回答させていただく」ではなく「ご回答する」、「お届けしたいと存じます」ではなく「お届けしたいと思います」など、敬語は使いつつも過度に丁寧にならないよう配慮しています。

最後の謝罪の文も、「何卒ご理解いただけますと幸いです」ではなく「ご理解いただければ幸いです」と、やや柔らかい表現にしています。

このように、適度な丁寧さを保ちつつも、より親しみやすい印象を与えるメールになっています。取引先の同僚や部下とのコミュニケーションにおいては、このような柔らかさと丁寧さのバランスが重要です。状況や相手との関係性に応じて、適切な表現を選択することが大切です。

「存じ上げないです」を使うビジネスシチュエーション

「存じ上げないです」は様々なビジネスシーンで活用できる便利な表現です。以下に、この表現が特に適している6つのシチュエーションを詳しく解説します。
  • 初対面の取引先との会話:新しい取引先や顧客との初めての会話で、相手の会社や製品について詳しく知らない場合に使用します。例えば、「申し訳ございませんが、御社の新製品の詳細は存じ上げないです。ぜひ教えていただけますでしょうか。」
  • 会議での質問への応答:会議中に自分の専門外の質問を受けた際に使用します。「申し訳ありません。その技術的な詳細については存じ上げないです。担当部署に確認して後ほどご報告いたします。」
  • 電話での問い合わせ対応:顧客からの電話で、即答できない質問を受けた場合に使います。「大変申し訳ございませんが、その商品の在庫状況は現時点では存じ上げないです。確認の上、折り返しご連絡させていただきます。」
  • メールでの情報要求への返信:メールで問い合わせを受けた際、その場で回答できない内容について使用します。「ご質問いただいた過去の取引記録につきましては、申し訳ございませんが存じ上げないです。関係部署に確認し、明日中にご回答いたします。」
  • プレゼンテーション後の質疑応答:自社のプレゼンテーション後、聴衆から質問を受けた際に、回答できない内容がある場合に使います。「申し訳ございません。その点については私は存じ上げないです。本社の開発部門に確認し、後日文書でご回答させていただきます。」
  • 社内での情報共有:同僚や上司から特定のプロジェクトや顧客について質問された際、詳細を把握していない場合に使用します。「申し訳ありませんが、そのプロジェクトの進捗状況は存じ上げないです。プロジェクトマネージャーに確認して、すぐにご報告いたします。」
これらのシチュエーションに共通するのは、単に「知らない」と言うだけでなく、その後のフォローアップの姿勢を示すことです。「存じ上げないです」と伝えた後、必ず確認や調査の約束をすることで、プロフェッショナルな対応を維持できます。

また、相手の立場や状況に応じて、謝罪の言葉を添えたり、理由を簡単に説明したりすることで、より丁寧で誠実な印象を与えることができます。ビジネスコミュニケーションにおいて、「存じ上げないです」を適切に使用することは、信頼関係の構築と維持に大きく貢献します。
ビジネスアドバイザー

「存じ上げないです」の後に具体的な行動計画を示すことで、責任感のある対応を印象づけられます。

シチュエーション 使用例 フォローアップ
初対面の取引先 「御社の新製品の詳細は存じ上げないです」 「ぜひ教えていただけますでしょうか」
会議での質問 「その技術的な詳細については存じ上げないです」 「担当部署に確認して後ほどご報告いたします」
電話での問い合わせ 「その商品の在庫状況は現時点では存じ上げないです」 「確認の上、折り返しご連絡させていただきます」

「存じ上げないです」間違った使用法

「存じ上げないです」は丁寧な表現ですが、使い方を間違えると不適切な印象を与えたり、コミュニケーションに支障をきたしたりする可能性があります。以下に、よくある間違った使用法と、その理由を解説します。
  • 「それは存じ上げないですね」
    解説:「ね」をつけることで、相手も知らないだろうという推測を含んでしまい、失礼な印象を与える可能性があります。「存じ上げないです」と断定的に述べるのが適切です。
  • 「全然存じ上げないです」
    解説:「全然」という言葉は話し言葉的で、やや軽い印象を与えます。ビジネスシーンでは「申し訳ございませんが、存じ上げないです」のように丁寧に表現するのが好ましいです。
  • 「存じ上げないですけど」
    解説:「けど」は話し言葉的で、やや軽い印象を与えます。代わりに「存じ上げないのですが」や「存じ上げないですが」のように、より丁寧な表現を使用しましょう。
  • 「それは存じ上げないです。次の質問どうぞ」
    解説:知らないと言った後、何のフォローもなく次の話題に移るのは不適切です。「確認してご回答いたします」など、その後の対応を示すことが重要です。
  • 「私には関係ないので存じ上げないです」
    解説:「私には関係ない」という表現は無責任な印象を与えます。代わりに「申し訳ございませんが、その件については担当外のため存じ上げないです。適切な部署をご案内いたします」のように対応しましょう。
  • 「存じ上げないですが、たぶん〜だと思います」
    解説:「存じ上げない」と言いながら推測を述べるのは矛盾しており、信頼性を損なう可能性があります。知らない場合は確実な情報を得てから回答するべきです。
これらの間違った使用法に共通するのは、丁寧さや責任感の欠如、そして不適切な言葉遣いです。「存じ上げないです」は謙虚さを示す表現ですが、それと同時にプロフェッショナルとしての姿勢も重要です。

正しい使用法では、知らないことを素直に認めつつ、その後の対応や解決策を示すことが大切です。また、ビジネスシーンにふさわしい丁寧な言葉遣いを心がけ、相手への敬意を忘れないようにしましょう。

適切な使用は、自分の誠実さと責任感を示し、相手との信頼関係を築くのに役立ちます。常に相手の立場を考え、どのような印象を与えるかを意識しながら使用することが重要です。

まとめ

「存じ上げないです」は、ビジネスシーンで重要な役割を果たす丁寧な表現です。この言葉を適切に使用することで、プロフェッショナルとしての姿勢を示しつつ、相手への敬意と謙虚さを表現できます。

ビジネスコミュニケーションにおいて、知らないことを認めることは弱点ではなく、むしろ誠実さと信頼性を高める機会となります。「存じ上げないです」と伝えた後、適切なフォローアップを行うことで、責任感のある対応を示すことができます。

適切な使用には、場面や相手との関係性の理解が不可欠です。初対面の取引先や目上の人との会話では特に効果的ですが、親しい同僚との会話では少し柔らかい表現を選ぶなど、状況に応じた使い分けが重要です。

また、「存じ上げないです」を使う際は、単に知らないことを伝えるだけでなく、その後の対応や解決策を示すことが大切です。これにより、プロフェッショナルとしての姿勢を維持しつつ、相手の信頼を得ることができます。

最後に、この表現を使う際は、過度に使用しないよう注意が必要です。必要以上に「存じ上げないです」を連発すると、能力や知識の不足を印象づけてしまう可能性があります。適切なタイミングと頻度で使用することが、効果的なコミュニケーションの鍵となります。
ビジネスアドバイザー

「存じ上げないです」の適切な使用は、ビジネスにおける信頼関係構築の重要なツールとなります。