何らかの障害や問題が発生したことにより、本来は続けたかったことを諦める必要がある場合に使います。ビジネスにおいては、相手に配慮しながら状況を伝えるのに適した表現でしょう。
- Qビジネスにおいて「断念せざるを得ない」の意味は?
- A
ビジネスでは、やむを得ない事情により計画や交渉を中止する必要がある場合に使います。予定していたプロジェクトや提案を、外部要因や避けられない状況によって続行できなくなったことを相手に伝える表現です。
目次
「断念せざるを得ない」ビジネスにおける意味
- ビジネスにおいて「断念せざるを得ない」は、避けられない理由によって何かを諦める状況を表現します。例えば予算削減や市場状況の変化など、自分たちの意思だけでは対応できない外的要因によって計画を中止する場合に使用します。相手に状況を理解してもらいながら、丁寧に断りを入れる効果があります。
- この表現には「せざるを得ない」という二重否定が含まれており、本来は続行したい気持ちがあるものの、やむを得ない事情により断念する必要があるというニュアンスを伝えられます。単に「断念します」と言うよりも、決断に至った背景事情や苦渋の選択であることが伝わるため、ビジネス上での配慮ある表現として重宝されています。
- フォーマルな文書やメール、会議の場など、公式な状況で使われることが多い表現です。特に取引先や上司に対して、プロジェクトの中止や計画変更を伝える際に用いると、相手に誠意を示しながら状況を説明できます。ただし使いすぎると重々しい印象を与えるため、状況に応じた使い分けが重要でしょう。

「断念せざるを得ない」と伝える際は、その後の代替案も同時に提示できると信頼関係を維持できますよ!
ビジネスで使える例文
ビジネスシーンでは様々な場面で「断念せざるを得ない」という表現が活用されます。取引先との交渉、社内での報告、プロジェクト管理など、計画変更や中止を伝える際に使うと丁寧な印象を与えられるでしょう。以下の例文は実際のビジネスシーンを想定したものです。状況に応じて言葉を選び、相手に誠意を伝えながら使用してみてください。
予算の制約により、当初予定していた海外展開を断念せざるを得ない状況となりました。
システムトラブルの影響で、今月の新機能リリースを断念せざるを得ないと判断いたしました。
市場環境の急激な変化により、このプロジェクトの継続を断念せざるを得ない結論に至りました。
人材確保が難しく、新規事業の立ち上げを断念せざるを得ない状況です。
法規制の変更に伴い、当初の計画通りの展開を断念せざるを得ないことをご理解ください。
資材の調達が困難となり、予定通りの納品を断念せざるを得ないことをお詫び申し上げます。
経営判断により、この事業部門の継続を断念せざるを得ない結論に達しました。
技術的な課題が解決できず、新製品の開発を断念せざるを得ないと判断しております。
取引先からの要望に沿えず、この案件への参画を断念せざるを得ない状況となりました。
コスト面での折り合いがつかず、提案内容の実現を断念せざるを得ないと考えております。
社内リソースの制約から、この施策の実施を断念せざるを得ないことをお知らせします。
競合他社の動向を考慮し、当初の戦略を断念せざるを得ない判断をいたしました。
想定以上のコストが発生するため、このサービス提供を断念せざるを得ない結論に至りました。
品質基準を満たすことができず、予定通りの出荷を断念せざるを得ない状況です。
これらの例文から分かるように、「断念せざるを得ない」はビジネスにおいて計画変更や中止を丁寧に伝える際に有効な表現です。使用する際は、なぜそのような判断に至ったのか理由を添えることで、相手の理解を得やすくなります。また、単に断念を伝えるだけでなく、代替案や今後の対応策を示すことで、建設的なコミュニケーションにつなげることができるでしょう。状況に応じて適切に使い分けることが重要です。
ビジネスでのメール作成例
掲題:新規事業計画の見直しについて
山田電機株式会社
佐藤様
いつもお世話になっております。東京商事の鈴木です。
先日ご提案させていただきました新規事業計画について、ご連絡申し上げます。
当社内で詳細な検討を重ねてまいりましたが、現在の市場環境と今後の見通しを考慮した結果、誠に残念ながら当初の計画通りの展開を断念せざるを得ない結論に至りました。
主な理由としては、想定以上のコスト増加と、競合他社の類似サービス開始による市場環境の変化が挙げられます。
ただし、計画の一部を修正し、規模を縮小した形での展開については引き続き検討を進めております。
改めて詳細をご説明させていただきたく、来週中にお時間をいただければ幸いです。
ご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんが、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。
ビジネスメールで「断念せざるを得ない」を使用する際は、冒頭で相手への敬意を示し、本題に入る前に状況の概要を簡潔に伝えることが重要です。断念する理由を明確に説明し、客観的な要因を挙げることで、相手の理解を得やすくなります。また、単に断念を伝えるだけでなく、代替案や今後の方向性についても触れることで、建設的なコミュニケーションにつなげられるでしょう。山田電機株式会社
佐藤様
いつもお世話になっております。東京商事の鈴木です。
先日ご提案させていただきました新規事業計画について、ご連絡申し上げます。
当社内で詳細な検討を重ねてまいりましたが、現在の市場環境と今後の見通しを考慮した結果、誠に残念ながら当初の計画通りの展開を断念せざるを得ない結論に至りました。
主な理由としては、想定以上のコスト増加と、競合他社の類似サービス開始による市場環境の変化が挙げられます。
ただし、計画の一部を修正し、規模を縮小した形での展開については引き続き検討を進めております。
改めて詳細をご説明させていただきたく、来週中にお時間をいただければ幸いです。
ご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんが、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。
メールの締めくくりでは丁寧にお詫びの言葉を述べ、今後も良好な関係を維持したい意向を示すことがビジネスマナーとして大切です。文面全体を通して誠意ある対応を心がけましょう。
「断念せざるを得ない」をビジネス使う効果的な場面
「断念せざるを得ない」という表現は、ビジネスシーンの様々な場面で活用できます。特に重要な計画や提案を中止する際、相手に誠意を持って伝えたい場合に効果的です。この表現には「やむを得ず」という意味合いが含まれているため、本来は継続したかったものの、外部要因や避けられない事情により断念するというニュアンスを伝えられます。相手への配慮を示しながら、状況を説明するのに適した表現といえるでしょう。
- プロジェクトやイベントの中止を伝える場面:準備を進めていたプロジェクトやイベントを、予算削減や人員不足などの理由で中止する必要が生じた場合、関係者に対して「断念せざるを得ない」と伝えることで、本来は実施したかったが避けられない事情があることを示せます。特に多くの人が関わっている大規模なプロジェクトの中止を伝える際に効果的です。
- 取引先との契約や納期変更の連絡:契約内容の変更や納期の延期など、取引先との約束を守れなくなった場合に使用すると、状況の深刻さと誠意を伝えられます。単なる都合ではなく、対応不可能な事態が発生したことを示すニュアンスがあるため、ビジネス関係の維持に役立ちます。
- 経営判断による事業撤退や戦略変更の説明:会社の経営方針や戦略の大幅な変更を社内外に伝える際、「断念せざるを得ない」を使うことで、慎重に検討した上での決断であることを示せます。特に株主や投資家向けの説明資料や社内アナウンスなどで用いると、経営陣の苦渋の決断であることが伝わります。
- 人事異動や組織変更の通知:組織再編や人事異動により、従業員のキャリアプランに影響が出る場合、「断念せざるを得ない」という表現を使って説明すると、会社としても本意ではないことが伝わります。特に従業員のモチベーション維持に配慮した伝え方が必要な場面で有効です。
- 提案や企画の却下:クライアントや上司に提出した企画や提案が実現困難と判断された場合、「断念せざるを得ない」と伝えることで、検討はしたものの実行が難しいというニュアンスを示せます。提案した側の気持ちに配慮しながらも、現実的な判断を伝える際に適しています。
- 業務提携や協業の見直し:他社との業務提携や協業関係を見直す必要が生じた場合、「断念せざるを得ない」という表現を使うと、相手企業との関係性に配慮しながらも、現状の協力体制の変更が必要であることを伝えられます。今後も良好な関係を維持したい場合に特に効果的な表現です。

断念を伝える際は、その理由を具体的かつ客観的に説明すると相手の納得感が高まりますよ!
「断念せざるを得ない」目上の人に使う敬語
- 「断念」:「断念する」の名詞形で、これ自体は敬語ではありません。物事を諦めるという意味の一般的な言葉です。敬語表現にする場合は「ご断念」と接頭語の「ご」をつけることもありますが、「断念」そのものには敬語要素はありません。
- 「せざるを得ない」:これは二重否定の表現で、「せざる(しない)」+「を」+「得ない(できない)」から成り立っています。「〜せざるを得ない」は丁寧語ではなく、文語的な表現です。現代の口語では「せざるを得ない」を丁寧語にして「せざるを得ません」と言うこともあります。
目上の人に対しては、「断念せざるを得ない状況でございます」や「断念せざるを得ないと存じます」のように、文末に丁寧語を加えるとより敬意が表現できます。また、「私どもとしては断念せざるを得ない判断をいたしました」のように、主語を明確にして謙譲の姿勢を示すことも効果的です。
また、目上の人に伝える際は、断念に至った経緯や理由を簡潔に説明し、今後の対応策も示すことで、単なる報告ではなく建設的なコミュニケーションにつなげることが大切です。
表現 | 敬語レベル | 使用場面 |
---|---|---|
断念せざるを得ません | 標準的な丁寧表現 | 一般的なビジネスシーン |
断念せざるを得ない状況でございます | より丁寧な表現 | 目上の人や重要な取引先向け |
ご断念申し上げざるを得ない次第でございます | 最も丁寧な表現 | 非常に重要な場面や公式文書 |
言い換え&類語集
「中止せざるを得ない」
計画や予定していたことを実行できなくなった状況を表現します。「断念」よりもやや客観的なニュアンスがあるため、業務上の決定事項を伝える際に適しているでしょう。
計画や予定していたことを実行できなくなった状況を表現します。「断念」よりもやや客観的なニュアンスがあるため、業務上の決定事項を伝える際に適しているでしょう。
「見送らざるを得ない」
一時的に延期するニュアンスが含まれており、将来的に再検討の可能性を残した表現です。完全に諦めるわけではなく、状況が改善すれば再開する意思があることを示せます。
一時的に延期するニュアンスが含まれており、将来的に再検討の可能性を残した表現です。完全に諦めるわけではなく、状況が改善すれば再開する意思があることを示せます。
「諦めざるを得ない」
「断念」よりもやや砕けた表現ですが、やむを得ない状況により希望を手放す様子を伝えることができます。社内やより親しい関係での使用に向いているかもしれません。
「断念」よりもやや砕けた表現ですが、やむを得ない状況により希望を手放す様子を伝えることができます。社内やより親しい関係での使用に向いているかもしれません。
「取りやめざるを得ない」
計画や予定を中止するニュアンスで、特に一度決定したことを変更する場合に用いられます。決定事項の変更を伝える際に効果的な表現と言えるでしょう。
計画や予定を中止するニュアンスで、特に一度決定したことを変更する場合に用いられます。決定事項の変更を伝える際に効果的な表現と言えるでしょう。
「あきらめざるを得ない状況です」
「断念」を平易な「あきらめる」に置き換えた表現で、より日常的なニュアンスになります。カジュアルなビジネス関係での使用に適しているかもしれません。
「断念」を平易な「あきらめる」に置き換えた表現で、より日常的なニュアンスになります。カジュアルなビジネス関係での使用に適しているかもしれません。
「実施を見合わせざるを得ません」
一時的な中断や延期のニュアンスがあり、状況が改善すれば再開する可能性を示唆しています。プロジェクトの一時停止などを伝える際に使うと効果的です。
一時的な中断や延期のニュアンスがあり、状況が改善すれば再開する可能性を示唆しています。プロジェクトの一時停止などを伝える際に使うと効果的です。
「中断せざるを得ない状況となりました」
完全に中止するのではなく、一時的に停止するニュアンスを持つ表現です。再開の見込みがある場合に使うと、相手に希望を持たせることができるでしょう。
完全に中止するのではなく、一時的に停止するニュアンスを持つ表現です。再開の見込みがある場合に使うと、相手に希望を持たせることができるでしょう。
「撤退せざるを得ないと判断しました」
特に事業や市場からの撤退など、大きな決断を表現する際に使われます。経営判断としての重みを伝えるのに適した表現といえるでしょう。
特に事業や市場からの撤退など、大きな決断を表現する際に使われます。経営判断としての重みを伝えるのに適した表現といえるでしょう。
「断念する他ない状況です」
「せざるを得ない」を「する他ない」に置き換えた表現で、選択肢がないことをより強調しています。避けられない状況であることを伝える際に効果的かもしれません。
「せざるを得ない」を「する他ない」に置き換えた表現で、選択肢がないことをより強調しています。避けられない状況であることを伝える際に効果的かもしれません。
「やむを得ず断念する判断をいたしました」
「せざるを得ない」を「やむを得ず」に置き換えることで、より現代的な表現になります。公式な場面でも使いやすい表現と言えるでしょう。
「せざるを得ない」を「やむを得ず」に置き換えることで、より現代的な表現になります。公式な場面でも使いやすい表現と言えるでしょう。
「残念ながら断念する結論に至りました」
「せざるを得ない」の部分を「残念ながら」という感情表現に置き換えています。本意ではないが仕方なく決断したことを伝える際に適しています。
言い換え表現を活用する際は、相手との関係性や場面の重要度に応じて表現を選ぶことが大切です。フォーマルな場面や目上の人に対しては「断念せざるを得ない」のような格式高い表現が適していますが、より親しい関係では「あきらめざるを得ない」など少しカジュアルな表現も使えるでしょう。「せざるを得ない」の部分を「残念ながら」という感情表現に置き換えています。本意ではないが仕方なく決断したことを伝える際に適しています。
また、伝えたい内容のニュアンスによって言い換え表現を選ぶことも重要です。完全に中止する場合は「断念」や「撤退」、一時的な延期であれば「見送る」や「見合わせる」という表現が適しています。状況に応じた適切な言葉選びが、相手にとって分かりやすいコミュニケーションにつながるのです。
さらに、言い換え表現を使う際は、前後の文脈との整合性も意識しましょう。唐突に難しい表現を使うと不自然な印象を与えるため、文書全体のトーンを統一することが大切です。相手に伝わりやすく、かつ誠意が伝わる表現を心がけることがビジネスコミュニケーションでは重要といえるでしょう。

言い換え表現は相手や状況に合わせて使い分けると、コミュニケーションの質が高まりますよ!
「断念せざるを得ない」間違った使用法
「断念せざるを得ない」は正式なビジネスシーンで使われる表現ですが、場面や状況によっては不適切な使い方をしてしまうことがあります。この表現は基本的に避けられない理由で何かを諦める状況を伝える際に使用するものです。しかし、単なる都合や気分で物事を中止する場合や、責任回避のために使うと、誤解を招いたり誠実さに欠ける印象を与えたりする恐れがあります。また、表現としても「せざるを得ない」の部分に二重否定が含まれているため、使い方を誤ると不自然な日本語になってしまうことがあります。
- 「今日は気分が乗らないので、プロジェクトを断念せざるを得ない」:
「断念せざるを得ない」は避けられない外的要因によって諦める状況を表現するものであり、単なる気分や個人的な都合を理由にする場合は使うべきではありません。「今日は体調が優れないため、明日に延期させていただきたい」などと言い換えるべきでしょう。 - 「コーヒーが切れたので、飲むのを断念せざるを得ない」:
日常的な些細なことに対して「断念せざるを得ない」という重い表現を使用するのは不適切です。このような軽微な状況では「コーヒーがないので、残念ながら飲めません」などの表現が自然です。 - 「先方から断られたので、契約を断念せざるを得ない」:
相手からの拒否が明確な場合、「せざるを得ない」という表現は冗長になります。この場合は「先方から断られたため、契約は成立しませんでした」などとシンプルに伝えるほうが適切です。 - 「彼の意見には賛成できないので、協力を断念せざるを得ない」:
単なる意見の相違や個人的な判断を理由にする場合、「断念せざるを得ない」という表現は適切ではありません。「意見の相違があるため、今回は協力を見送らせていただきます」などと言い換えるべきです。 - 「断念せざるを得ないですね」:
「せざるを得ない」という表現に「です」をつけると文法的に不自然になります。正しくは「断念せざるを得ません」または「断念せざるを得ない状況です」と表現します。
また、この表現は比較的フォーマルなビジネスシーンで使われることが多いため、日常会話やカジュアルな状況では違和感を与えることがあります。表現の持つ重みや文脈を考慮し、適切な場面で使用することが大切です。
さらに、文法的に正しく使用することも重要です。「せざるを得ない」という表現自体が二重否定を含む文語的な表現であるため、現代の口語と組み合わせる際には注意が必要です。「断念せざるを得ません」や「断念せざるを得ない状況です」など、全体として自然な日本語になるように気をつけましょう。
「断念せざるを得ない」まとめ
「断念せざるを得ない」は、ビジネスシーンで避けられない事情により計画や提案を中止する必要がある場合に使う表現です。本来は続行したい意思があるものの、外的要因により諦めざるを得ない状況を丁寧に伝えることができます。この表現の魅力は、単に「断念する」と言うだけでなく、やむを得ない状況であることを強調できる点です。二重否定の「せざるを得ない」を用いることで、本意ではないが仕方なく決断したというニュアンスが伝わります。 ビジネス文書やメール、会議など、フォーマルな場面で特に効果的です。ただし、個人的な都合や些細な理由での使用は避け、状況に応じた適切な表現を心がけましょう。
効果的に使うためには、意味とニュアンスを正確に理解し、文法的に正しく使うことが大切です。状況に応じて類語表現も活用し、相手に配慮しながら円滑なコミュニケーションを図りましょう。

「断念せざるを得ない」と伝えた後は、次の一手を提案すると前向きな印象を与えられますよ!